契約更新要求権とは
契約更新要求権は、韓国で住宅を借りて住む賃借人が、契約期間が終わるころ賃貸人に契約をもう一度続けるよう求められる権利です。2020年7月の住宅賃貸借保護法の改正で生まれ、契約更新請求権とも呼ばれます。この権利を決められた期間に行使すると、賃貸人は法が定めた事由がない限り拒めず、契約は2年延長されます。行使は賃貸借の期間中1回に限られるので、最初の2年契約に更新の2年を加え、通常4年ほどの居住が保障される仕組みになります。更新された契約は原則として従前の契約と同じ条件ですが、家賃と保証金は一定の上限の範囲で上げ下げできます。チョンセ(多額の保証金を預けて月々の家賃がない韓国特有の賃貸)でもウォルセ(月払いの家賃)でも、住宅賃貸借保護法が適用される住居用の賃貸借なら対象です。この記事では行使の方法と増額の上限、拒絶事由、そして誰も何も言わずに契約が続く黙示の更新との違いを扱います。
いつ、どう要求するか
更新の要求は、賃貸借期間が終わる6か月前から2か月前までに行う必要があります。この期間を過ぎ、終了の2か月前より遅く要求すると、権利を行使したと認められにくくなります。ですから契約書の終了日から逆算して日付を数え、カレンダーに印を付けることが第一歩です。要求の方法に決まった形式はなく口頭でも構いませんが、後で争いになればいつ要求したかを証明する必要があるので、記録が残る方法を使う方がよいでしょう。ショートメッセージやメッセンジャーで送り、相手が読んだ画面を保存する方法が一般的で、争いが予想されるなら郵便局の内容証明を使えます。内容には賃貸物件の住所、契約期間、更新を求める意思をはっきり書きます。賃貸人が替わった場合は新しい賃貸人に求めれば足ります。契約終了日の計算には日付計算ツールを使うと間違いを減らせます。
- 契約終了の6か月前~2か月前に要求
- 形式は自由だが記録が残る方法で
- メッセージ画面を保存、争いが予想されれば内容証明
- 住所・契約期間・更新要求の意思を明確に
増額は5%以内、自治体がさらに下げられる
更新時に賃貸人が家賃や保証金を上げるには、従前の額の5%を超えることはできません。この上限は住宅賃貸借保護法が定めたもので、特別市・広域市・特別自治市・道・特別自治道は条例でこれより低い比率を定められます。自分の住む地域に別の比率があるかは、その自治体の案内で確かめる必要があります。5%は上げられる最大値であって必ず上げる数値ではないので、据え置きやそれより低い値上げで合意でき、相場が下がったなら減額を求めることもできます。保証金と家賃の両方がある契約で両方を調整する場合は、家賃を保証金に、または保証金を家賃に換算して一方の基準にそろえてから比率を見る方法が使われます。このとき使う転換比率にも法定の上限があるので、チョンセ・ウォルセ転換計算ツールで一緒に確かめると便利です。また増額があった場合、そこから1年以内は再び増額を請求できません。
更新後の解約、そして黙示の更新との違い
更新要求権で延長された契約では、賃借人は2年を満たさなくてもいつでも解約を通知でき、賃貸人が通知を受けた日から3か月たつと解約の効力が生じます。一方、賃貸人はこの期間中に勝手に解約できません。黙示の更新はこれと別の仕組みです。賃貸人が終了の6か月前から2か月前まで、賃借人が終了の2か月前まで、更新拒絶や条件変更の通知を何もしなければ、契約は従前と同じ条件で2年続いたものとみなされます。黙示の更新でも賃借人はいつでも解約を通知でき、3か月後に効力が生じます。大きな違いは、黙示の更新は更新要求権を使ったものとみなさない点です。政府の解説によると、黙示に更新されても賃借人の更新要求権1回はそのまま残ります。そのため次の満期に再び要求権を使えるかは前回がどの方法の更新だったかで変わるので、更新のたびにその方法を記録しておく必要があります。
例:5%上限を計算してみる
以下は理解のための仮定で、地域の条例でより低い比率が定められているならその比率を使います。まずチョンセです。保証金3億ウォンで住んでいて更新要求権を行使したなら、上げられる最大値は3億ウォンの5%の1,500万ウォンで、更新後の保証金は3億1,500万ウォンを超えられません。次に家賃だけを上げる場合です。保証金5,000万ウォン、家賃月100万ウォンの契約で、保証金はそのままにして家賃だけを上げるなら、家賃は105万ウォンまでが上限です。保証金と家賃を一緒に変えようとするなら、家賃を保証金に換算して従前の総額と新しい総額を同じ基準で比べる必要があり、この換算に使う転換比率が結果を左右します。たとえば保証金を減らす代わりに家賃を上げる提案を受けたなら、転換計算ツールに二つの条件を入れて同じ基準にそろえ、5%を超えるか確かめてください。数字があいまいなら、合意の前に公的な相談窓口に尋ねる方が安全です。
よくある誤解
契約更新要求権をめぐってよく生じる誤解があります。第一に、5%は必ず上がる比率ではなく上限です。第二に、更新要求権があるからいつ言ってもよいという考えは危険です。終了の2か月前を過ぎると行使期間を逃します。第三に、家主が替われば権利が消えるという考えも誤りです。対抗力を備えた賃借人は新しい賃貸人にも更新を求められます。第四に、黙示に更新されたから更新要求権はもう使ったという誤解があります。政府の解説は黙示の更新を要求権の行使とみなしません。第五に、更新された契約は2年を満たさないと出られないという考えです。賃借人はいつでも解約を通知でき、3か月後に効力が生じます。ただし通知後3か月分の家賃は払う必要があります。
- 5%は義務の値上げではなく上限
- 終了の2か月前を過ぎると行使期間を逃す
- 賃貸人が替わっても新しい賃貸人に要求できる
- 黙示の更新は要求権の行使ではない
満期前の点検順序
契約の満期が近づいたら、次の順で準備すると間違いを減らせます。まず契約書で終了日を確かめ、6か月前と2か月前の日付をカレンダーに印を付けます。次に前回の更新があったなら、それが要求権の行使だったのか黙示の更新だったのか記録を探します。続いて自分の地域に増額上限を下げた条例があるか自治体の案内で確かめます。住み続ける予定なら期間内に記録が残る方法で更新を求め、賃貸人が増額を提案すれば従前の額に対する比率を計算します。条件が決まったら更新の契約書を書くか合意内容を文書に残し、金額が変わった場合は届出の対象かと確定日付をあわせて確認します。保証金が増えた部分は確定日付を改めて受けてこそ、その部分の優先順位が守られる点も覚えておきましょう。
- 契約終了日を確認、6か月前・2か月前を記入
- 前回の更新が要求権の行使だったか確認
- 地域の条例の増額上限を確認
- 期間内に記録が残る方法で要求
- 変わった条件を文書化、届出・確定日付を確認
よくある状況1:家主が実居住を理由に拒む
賃貸人は法が定めた事由があるときだけ更新の要求を拒め、最も多いのが賃貸人本人や直系尊属・直系卑属の実居住です。そのほか、2回分の家賃滞納、偽りや不正な方法による賃借、無断の又貸し、故意や重大な過失による大きな損壊、合意による相当な補償、事前に知らせた取り壊し・再建築などが法に列挙されています。実居住の計画が事実なら賃借人は終了日に明け渡す必要がありますが、拒絶の意思も期間内にはっきり伝えられる必要があるので、理由を記録で受け取っておきましょう。実居住を理由に拒んでおきながら正当な理由なく更新期間内に他人に貸せば、賃貸人は賃借人の損害を賠償しなければならず、法は賠償額の計算基準も定めています。引っ越した後にこれを確かめる方法として、その住宅の確定日付の付与状況のような賃貸借情報を閲覧できる制度がありますが、閲覧できる人と範囲が決まっているので、住民センターなどで要件を確かめてください。
- 賃貸人・直系尊属卑属の実居住
- 2回分の家賃滞納の履歴
- 無断の又貸し、故意・重過失の損壊
- 合意による相当な補償、事前に知らせた再建築など
よくある状況2:増額の比率や拒絶をめぐって合意できない
値上げ幅が5%を超えるか、拒絶事由が正当かをめぐって話し合いが行き詰まることがあります。このとき、すぐ訴訟を考えるより、住宅賃貸借紛争調停委員会をまず検討できます。この委員会は大韓法律救助公団、韓国土地住宅公社、韓国不動産院などの支部と一部の自治体に置かれ、家賃・保証金の増減、契約の更新、保証金の返還といった争いを訴訟より少ない費用と時間で調停します。調停が成立すればその内容どおり効力が生じますが、相手が応じなかったり合意できなかったりすれば、別の手続きを改めて判断する必要があります。いずれにしても準備が大切です。契約書、更新要求を送ったメッセージや内容証明、賃貸人の返答、増額の提案内容、関連する条例の比率を日付順にまとめておくと、調停や相談で事実関係を早く説明できます。法律相談は大韓法律救助公団のような公的な窓口でも受けられます。
限界と注意
この記事は韓国の住宅賃貸借保護法の契約更新要求権と黙示の更新を一般的に説明したもので、個別の事案に対する法律上の助言ではありません。行使期間(終了の6か月前~2か月前)、1回2年の延長、増額上限5%、解約通知後3か月は2026年現在の条文に基づき、自治体の条例の比率、転換比率、拒絶事由の具体的な解釈と損害賠償額の算定は事案と時期によって異なり、法改正で変わることがあります。変わりうるので、法制処の国家法令情報センターの条文と国土交通部・法務部の公式解説、自治体の案内を確認してください。例の金額はすべて仮定です。争いが生じたら、住宅賃貸借紛争調停委員会や大韓法律救助公団、弁護士などの専門家の助けを受けることを検討してください。契約に関する連絡で送金を急がせる求めは詐欺のことがあるので、口座の名義人が賃貸人本人か必ず確かめてください。
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